BLOG

ブログ

AWS・GCPを選ぶ際の観点

背景

 弊社ではAWSとGCP両方のご提案をさせていただく機会が多いのですが、 その中で「AWSとGCPどちらを使うべきなんでしょうか?」と聞かれる事が多くあります。 少し前であれば差分も多く特徴が多かったのですが、 最近であれば互いに欠点を補う形で均質化が進んできており、 要件だけではどちらを使うべきかを選べない状況となっています。 調べてみても 「GCPは機械学習系に強く、AWSは柔軟性が高い」 「コンピュートエンジンについては**の違いがあり、ストレジについては…」 「コスト比較表」 と言った情報は出てくるものの、 結局どちらを使うべきかは結構迷ってしまいます。 そのため今回はどちらかを選ぶ際の観点についてお伝えできればと思います。
 なお読んでいただくにあたってあくまで個人的な意見である点と、 クラウドは変化が早く最新状況とは違う可能性がある点をご了承いただければと思います。

重要な観点

 今回重要な観点について以下の4つを説明させていただければと思います。

  1. 要件を満たせているか
  2. 運用面
  3. パッケージやドキュメント
  4. 利用規模

要件を満たせているか

 1つ目に重要な観点としては当然ですが「要件を満たせているか」という点になります。 冒頭で均質化が進んでいると述べたのですが、まだいくつか差分は存在します。 特に大きいものとしては「Google他サービスとの連携」があり、 「Google Analyticsと連携したい」 「Google Map APIを使いたい」 「Spread Sheetのデータを使いたい」 等の要望があればまずGCP側を検討してみるのが良いと思われます。 上記サービスとAWSを連携させることも可能ですが、 結局間にGCPを挟むことになり無駄が発生する可能性が高いです。
 とはいうものの基本的にはどちらのサービスも機能が一通り揃っているので、 特殊な要件を除き片方しか満たせない要件は少ないと考えて良いと思います。

運用面

 次に気にするべき観点が運用面の話になります。 実際に開発後の保守・運用は自社や委託で行うと思うのですが、 その場合にどちらの知見が多いかとても重要な観点となってきます。 特に権限周りはAWS・GCPで付与単位などの考え方が異なっており、 意図せず本番環境を危険に晒してしまう可能性もあります。
 なおどちらの知見もなくこれから貯めるという状況であれば、 個人的には習得の速さで有利なGCPの方を先に検討されるのが良いかと思います。

パッケージやドキュメント

 次に重要となる観点がパッケージ(マーケットプレイスなど)やドキュメントの話になります。 ドキュメントはどちらも割と多くあるのでそこまで大きな差はないですが、 パッケージについては少し気をつけた方が良いかと思われます。
例えば「wordpressを構築する」ケースを考えた際、 AWS・GCPでは以下のような選択肢が取りえます。

wordpressでいえばどちらでも簡単に立てる方法が存在するのですが、 物によっては片方しかない場合も考えられるので先に確認した方が良いと思われます。

利用規模

 最後の観点が利用規模になります。 上記3つの観点でどちらを使うべきかが決まらなかった場合は、 個人的にはどちらを使っても大きな差は出ないと考えており、 最後の「利用規模」という観点はあくまで強いて言えばという話になります。
 本文中で権限周りの考え方が違うという話をさせていただきましたが、 結果としてAWSの方が細かく権限制御を行うことができます。 その影響もあって個人的に両サービスには以下のような印象を持つことが多いです。

  • AWS:細かい権限設計ができるが詳細設計が必要であり、大規模で厳重なシステム・サービスに向いている
  • GCP:大まかな権限設計だが設計を行う事ができ、小規模で早く立ち上げたいシステム・サービスに向いている

なので本当にどちらかで困った際はシステム・サービスの規模で決めてしまうのも良いかもしれないです。

感想

 色々観点を書いたのですが個人的には「好きな方を使う」でも大きな問題は出ないかと思っています。 私はAWSから入って途中からGCPを利用したのですが、 双方の選択を間違えて大きく困ることはほぼありませんでした。 (かなり細かいところでいうとterraformの対応状況がありますが、 おそらく多くの人は気にならない点だと思うので。。。) ただどちらを使うにせよ権限を含めた初期設計はセキュリティリスクに関る箇所になるので、 新しく挑戦される場合はアドバイス等をもらいながら設計されるのが良いかと思います。 不明点や別観点等あればぜひコメントをいただけると助かります。

SinkCapitalではデータに関する支援を行っています

弊社はスペシャリスト人材が多く在籍するデータ組織です。 データ分析や分析基盤の設計などでお困りの方がいらっしゃれば、 まずは無料で、こちらから各分野のスペシャリストに直接相談出来ます。